コペンハーゲン会議から《最後の徹夜の交渉》 [地球温暖化問題の国際交渉]
いま,ちょうど環境大臣級の徹夜の交渉が動いているところだと思います.写真は,COPのWGの様子です (ENBより).
夕方の4時には,鳩山首相も到着して,さっそくクリントン国務長官,温家宝首相,ラスムセン首相と話し合いをしたようです.日本代表のプレスリリースなどをきくかぎり,会合はかなりポジティブに行われたようです.
ちょっと気になるところがあります.条約の下の LCA に関して,この スケジュール表 が出ていました.COP決定となる 各エレメントに関するドラフティングの表です.いまの段階でこのようなことをする余裕があるのでしょうか?
ドラフティングのファシリテータは,コンタクトグループで担当した各国の行政官レベルです.AWG-LCAでさんざん交渉して決まらなかったものを,彼らにそれ以上のものを望むのは難しいでしょう.それができるのは,大臣級であるはずです.そのために彼らが来ているわけですから.そして彼らの役割は,首脳会合に向けて,きちんと文書を整備することです.
過去を振り返ってみますと,京都議定書のルール,すなわち マラケシュアコード (ものすごい量のドキュメントです) の前に,ボン合意 を,その「きわめて政治的な部分をまとめた合意文書」としてまず合意されました.いまの段階でコペンハーゲンで行うことは,これかと思います.
正直言って,AWG-LCAは,まだ詳細まで詰められたものとなっていません.このドラフティングを行うより,100カ国以上の首脳が集まってすべきことは別にあると思います.
京都議定書の時のエストラーダ議長も,ハーグ,ボンの時のプロンク議長も,途上国にも先進国にも,きわめて信頼できる会議運営を行いました.デンマークはこの点で戦術を誤り,その結果として途上国の要求を過度に聞かざるを得ない状況になり,さまざまな内容に溢れたAWG-LCAのテキストの個々を個別に扱うようなことになったと思われます.
本来は,議長の責任として,その中の (そしてそれを超えた) 政治的な部分を抽出し,わかりやすい形でパッケージ化し,その部分に集中した交渉を議長のリーダーシップの下で行うべきです.もちろん,その前にきちんと 主要国に対しては 裏でバイで説明をし,合意をできるだけ得るようにしてから,多くの国の前で諮るべきです.
わたしの懸念が杞憂に終わればいいのですが... あと,ほぼ一日(一日半?)で結果が出ます.さて,どうなるでしょうか?
松尾 直樹
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