カンクン会議: 5日目 [地球温暖化問題の国際交渉]
久しぶりに,今朝は風もなくすがすがしい感じです.
交渉もいろいろ動いてきて,昨日は,議定書提案に関するコンタクトグループに参加(傍聴)しました.新議定書案が昨年からAOSIS (小島嶼国)などからいくつか出ていて,それを議論するプロセスなのですが,実際は,いまのAWG-KP交渉,AWG-LCA交渉の,「法的拘束力のある議定書」という形をどうとるか?というものです.必ずしも新しい名前の議定書ができるとは限りません.強硬派のAOSISに対し,不要であると主張する中国やインドなどの対立という構図です.EUはサポート側です.日本はいつもの単一の枠組みを主張していました.
コンタクトグループに引き続いて,クローズドなインフォーマルミーティングが開かれたはずです.なんらかの糸口が出てきたのでしょうか?
それから,バスで,Moon PalaceからCancuun Messeに向かったわけですが,このバスはジャトロファを用いた100%バイオディーゼルバスです.のり後心地は... 普通のバスといっしょですね(笑).
サイドイベントでは,あたらしくできたCDM方法論ブックレットの説明をきいてきました.このような試みは,とくに素人には非常に役に立つものです.ただ,CDM理事会のガイドライン/ガイダンスの説明が弱く,加えて「行間を読む」ような説明があるとなおベターであると発言しておきました.少なくとも2回のCDM理事会会合毎にリバイズされるようです.
米国政府のイベントでは,気候変動と災害に関するリスク対処体制に関するものをすこし見ました.適応の方が,緩和より「コベネフィッツ」の要素が強くなります.いずれにせよやったほうがいいわけですね.
また,CDMと技術移転に関するイベントでは,旧友であるEric Haitesの仕事が発表されていました.5000程度のプロジェクトのPDDをサーベイした力作で,CDM事務局のWebサイトからダウンロードできます.次回は,ケーススタディーを中心に,Good Practices事例がわかる感じを中心にしてくれるといい... とコメントをしておきました.技術移転にもいろいろなケースがありますが,通常のプロジェクトは,商社や金融機関がCERバイヤーとなります.一方で,技術をもっている製造業の人が事業者となる数少ないケースでは,技術移転そのものが目的となり,それをCDMでブーストするということとなり,そのようなケースが増えてもらいたいものですね.南南協力などの成功事例も興味があります.
また,このような技術移転のためのプラットフォームがあるといいのですが,いまあるものはどれも貧弱です.今 交渉で動いている「技術メカニズム」がどのようなものになるか,期待しましょう.
それでは,また.
松尾 直樹 @今日は暑くなりそうです
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