社会インパクト投資のおしらせとお誘い [PEARのプロジェクト開発]
- 気候変動問題に関心と懸念をお持ちの方,
- 再生可能エネルギーに興味をお持ちの方,
- 途上国とくに農村の電化率の低さ(エネルギーアクセス問題と言います.いまなお12億人もの人が電気にアクセスできていません)と開発問題に関心をお持ちの方,
- そしてこれらの問題にどうすれば自分が寄与できるか?という点をお考えの方
ミニSHS EGAOプロジェクト Webローンチ [PEARのプロジェクト開発]
PEARの,ミニSHS (Solar Home System) 活動が,ようやく 実際に立ち上がる段階になってきましたので,そのための Web を立ち上げました.ぜひ ご覧下さい.
製品の名前は EGAO としています.このロゴは,どんな国の人がみても「笑顔」ですよね.
製品は,このようなものです:
また,今朝の朝日新聞の2面にも掲載されましたので,よろしかったらご覧下さい.
松尾 直樹
明けましておめでとうございます [PEARのプロジェクト開発]
あけまして おめでとうございます!
久しぶりの更新になってしまいました.申し訳ありません.
新しい年を迎えるにあたって,年賀状を作成いたしました.写真は,最貧国であるバングラデシュの子供たちのくったくのない笑顔です.このような笑顔が,われわれの目指すものですが,同時に,再生可能エネルギーによる持続可能でエネルギー自給型農村の開発という側面もあります.オールターナティブな開発のパスを目指すものです.日本でも 昨年はこのことを 意識せざるをえなかったわけですが,発展途上国でも まさに これからの課題です.PEARは,その solution の具現化を目指しています.
PEARがバングラデシュで協同している Grameen Shakti は,有名なグラミン銀行ファミリーのひとつで,農村のエネルギー開発を担っています.ご興味のある方は,たとえば このムービーをご覧ください.YouTubeあたりで探していただくと,まだまだいろいろでてきます.
今年は,このような活動に,みなさんが「参加」していただけるプラットフォームをデザインすることも,テーマの一つです.なにかご希望がありましたら,お寄せください.
中国とスリランカでがんばっている佐々木の年賀状もお付けしましょう.クリックすると大きな画像がみられます.
今年もよろしくお願いいたします.
松尾 直樹
新年 あけましておめでとうございます [PEARのプロジェクト開発]
新年 あけまして おめでとうございます!
昨年は,カンクン会議で,気候変動問題への対処のアプローチとして,国連の多国間スキームへのモーメンタムが回復しました.ボランタリーな状態でも,先進国(米国です.日本も?)は 実質的に議定書と同等の数値目標を達成していき,途上国は きちんと 測定・報告・検証することで,実効性と透明性を確保しようとするスキームができることとなりました.日本の得意とする PDCA サイクルをまわすようにデザインすることで,対策の実効性をあげることが可能です.そこに日本の寄与があることを望みます.わたしも,そこに自分の知見を活かすような寄与をしてみたいと思っています.
さて,PEARは,昨年末に プロポーズしていた JICAの「BOPビジネス連携支援スキーム」に採択されました.昨年から共同してきたバングラデシュの Grameen Shakti (あのグラミン銀行グループのひとつで 農村のエネルギーアクセスをミッションとしています)といっしょに,かなり革新的なアイデアを,ビジネスの形にデザインしていきます.BOPとは途上国貧困層で,ビジネスを通じて貧困層のニーズを満たし,援助とは異なる形の開発支援を図るわけですね.
ただ,コストの高い日本人が大勢係わってはビジネスとしてまわりませんし,基本的には薄利多売となるため,よほどうまくデザインしなければ,日本企業は体力のあるかなりの大企業でなければ難しいのが実態かと思います.味の素の ワンコイン販売 などは,いい成功例ですね.
PEARは,このような課題をうまく工夫して解決するように,ビジネスモデルを組んでいます.とくに,BOP層の中でも 最貧層までエネルギーアクセスが可能となるような工夫がちょっと自慢です.もちろん,プログラムCDMも重要なコンポーネントですね.うまくいけば,新しいBOPビジネスモデルとして 他国にモデル展開できるかもしれません.
もうすこしシンプルなモデルですが,従来から続けてきた 中国重慶の貧困農村向けバイオガス・マイクロダイジェスター プログラムは,今年はいよいよ CDMとして登録されると思います.うまく拡大していけるといいのですが...
年賀状を作成いたしました.貧困地域の子供たちの未来にとって,エネルギーへのアクセスは basic human needs の中でもかなり重要なものです.PEARは,それを 再生可能エネルギーで (大きな規模で) 可能とさせることをミッションとしています.
左上は,バングラデシュの農村の若い女性と彼女の赤ちゃんですね.右下は,四川省の少数民族イ族の貧困農村で,(日本ではもう見ることがなくなった) お姉ちゃんが弟を背負って世話をしているところです.「笑顔をつなぐCDM」ですね.
中国の現場でがんばっている佐々木の年賀状も下に添付しておきましょう.
もうひとつ,PEARは,先進国の人々や企業に,このような「社会」および「環境」の付加価値を,(おそらく世界初のものとして)提供していきます.日本で受け入れられるようにがんばりますが,ひょっとしたら欧米でだけ受け入れられるかもしれません.そうなったら寂しいですね.
今年は,数年育てていた果実が熟れてくる年です.今年もよろしくお願いいたします.
松尾 直樹
重慶バイオガスダイジェスタープロジェクト視察感想文 [PEARのプロジェクト開発]
先日,英国サセックス大(MA in Environment, Development and Policy)に留学中の井上直己さんに頼まれ,彼の修士論文作成のため,われわれの重慶のバイオガス・マイクロダイジェスター(BMD)プロジェクトのサイトを見学してもらいました.
いずれ,その成果は立派な修士論文になるでしょうが(期待しています!),とりあえず,感想文というような形で書いていただきましたので,みなさんにご紹介いたしましょう.
筆者紹介: 英国サセックス大学 開発環境政策学修士課程に所属. 卒業論文においては,中国国内におけるBMD技術の内陸地域への普及のあり方をテーマとし,そのケースステディーとして,重慶市開県龍王村で実施されているバイオガス・マイクロダイジェスター(BMD) CDMプロジェクトを取り上げ,7月頭に事業の実地調査に訪問.
中国奥地の農村で広がるバイオガス・ダイジェスター
― 重慶市龍王村のCDM事業視察報告 ―
ゴウゴウ音を立ててガステーブルから吹き上げる青白い炎、そしてキッチンの真横にある畜舎で横たわる母豚に群がる多くの子豚達、これが龍王村で普及が進むバイオガス・ダイジェスターを見学した際に強く印象に残った光景です。事前に読んだBMDに関する資料の中では、メタンガステーブルの火力が弱いという短所が指摘されたケーススタディーもあったのですが、それを基にした私の予想は見事に裏切られ、各世帯のキッチンを訪問する度に、勢いよく吹き出る炎にただただ驚嘆してしまいました。
キッチンの片隅には技術導入前に購入した練炭が調理用燃料としての役割を終え、山積みされていました。練炭の使用はキッチン中を煤(すす)まみれにしてしまうのみならず、煙によって室内大気汚染を引き起こし、健康被害をもたらします。BMD導入による練炭使用削減は、二酸化炭素排出削減につながる以前に、そうした生活環境改善につながることから、村民の皆さんからは大変熱く歓迎されていました。まだ導入していない村民の方々は口々に早期導入を求めていたのが非常に印象的です(写真は不要になった練炭の山)。
農村BMD技術について、中国は先進国といっても過言ではありません。ここで導入されているBMD技術は「伝統技術」と呼ばれるタイプのもので、中国において1980年代からの技術開発によって発展した技術であり、もっとも簡素な構造を持つ装置ですが、その分、低コストでメンテナンスも比較的容易であることから、遠隔地の農村地帯への普及には大変適していると言えます。2007年末までには中国国内でおよそ26.23百万戸の家庭にBMDが普及されていると言われていますが、当該CDM事業や中国政府の補助事業などを通じて、当該技術の更なる技術普及が期待されていることと思われます(写真は養豚場)。
ただし、人糞のみでは調理に必要なメタン量を発生させることが困難であることから、BMD導入は世帯が養豚を営んでいることが前提となっていることに注意が必要です。つまり豚を保有していない世帯(豚を保有するだけの資力の無い農家)については、BMD導入の可能性は非常に限られているといえます。しかし一方で、龍王村では大規模な養豚農家がBMD設置によって大量にメタンを発生させ、近隣の豚を持たない世帯にも供給するという計画も進行中です。こうした取組は石炭依存からの脱却を更に促進していくことになるでしょう。農家同士が協力して、練炭からバイオ由来のメタンへと大きくエネルギー・シフトしていく構造転換の現場にまさに居合わせているのだということを、私は強く実感しました。
農村の方々は、気候変動のためにBMDを導入しているという意識はほとんど無いといって良いと思います。ただそれが練炭購入コストの削減につながるから、キッチンの衛生向上につながるから、そのために技術を導入しているのです。そして、それが結果的に温室効果ガス排出削減にもつながる。この事業はまさに「経済発展と環境保全の好循環」を体現した好例だといって良いと思います。
視察に協力いただいた方々とわたし(中央)
バイオガスマイクロダイジェスターCDM キックオフセレモニー [PEARのプロジェクト開発]
すいぶん時間が経ってしまいましたが,3/14,重慶において開発してきた「バイオガス・マイクロダイジェスターCDMプロジェクト」のキックオフ・セレモニーを行いました.
そのようすは,簡単なファイルにまとめておきましたので,ぜひ ご覧ください.また,「世界で一番CDMという言葉が普及している村」にも,写真をアップしておきました.本当にたくさんの農家のみなさんの期待を,ひしひしと感じることができた感動的なセレモニーでした.
このプロジェクトは,社会的貢献度の非常に高いすばらしいプロジェクトであるわけですが,PEARの精神を具現化したものです.このようなプロジェクトを実現化したいがために,PEARを立ち上げたと言っても過言ではありません.
このプロジェクトは,プログラムCDMという形態で実施します.この方法は,従来型のCDMプロジェクトとは異なり,とりあえず小さいスケールで立ち上げてから,徐々に大きくしていくことを簡単に行うことができます.
とりあえず,このような社会的意義の高いCDMプロジェクトの価値を見いだしていただける投資家・企業を募って,大きくしていきたいと思っています.寄付ではありません.排出権(CDMクレジット=CER)を,投資としてのリターンとしてお返しします.そのCERを何に使うか?は,投資家の自由です.
良質のプロジェクトからのクレジットであることを証明する Gold Standardの認証を獲得する予定ですので,欧州排出権市場では,通常のCERより高く販売できますし,ご自分の排出量のオフセットに用いられるなら もっとすばらしいですね.
もし,ある程度まとまった資金を投資してもいい... とお考えの方や企業がおられたら,ぜひ,お声かけください.多くのCDMプロジェクトをお持ちの企業の方にとっても,ポートフォリオに入れておくことの意義は大きいと思います.
そのうちに,個人でもこのようなプロジェクトに投資できる仕組みをつくっていきたいと思っています.ご期待ください.
松尾 直樹
あけましておめでとうございます [PEARのプロジェクト開発]
新年 あけましておめでとうございます!
新しい年を迎え,みなさんは いかなるお気持ちでしょうか?今年末にはコペンハーゲン会議,米国オバマ新政権の動きなど,地球温暖化問題をめぐる国際的な動向は,目が離せないものがあります.
社会企業(ソーシャルベンチャー)として立ち上げた PEAR は,PEAR China (PEACH) も設立され,今年は いよいよ 自分たちでつくってきたプロジェクトが立ち上がります.今年の半ばには 国連登録がなされるものと期待しています.
中国重慶の貧困農村地域での,家庭レベルのバイオガス・マイクロダイジェスタープロジェクトは,プログラムCDMという新しいCDMの形態で,まさに持続可能な発展を絵に描いたようなプロジェクト(プログラム)となります.そのうちに,どういうプロジェクトか?それをどのようにしてCDM化するか?など,詳しくご紹介いたしましょう.
最初は 洞爺湖サミットのカーボンオフセット資金を用いて,そのあとで いくつか日本や外国の資金を用いて 動かしていくことになります.持続可能な発展のためのプロジェクトを認証する Gold Standard も獲得すべく動いています.
みなさんにとっては,単なる排出権を購入するのではなく,まさに きわめて良質の「産地直送」で 相手の顔の見えるカーボンオフセットサービスをご提供することになりますね.
将来的には,このようなプロジェクトで,みなさんが ご自分のカーボンフットプリントのオフセットだけでなく,意思のある投資対象として考えていただけるような仕組みをつくりたいと 密かに思っています.ソーシャルベンチャーの先輩格である Kiva http://www.kiva.org/ のようなことができるといいですね.Kiva は,マイクロクレジットスキームをインターネットを通じて,Person-to-Person で行えるようにした組織です.
カーボンオフセットのみならず,カーボンマネージメントの仕組みに関してもいろいろ動かしていきたいと思っています.
国内外での低炭素社会構築に向けて,実際のアクションを行っていく,それを みなさんとつくっていくことが,PEARの目指すところです.
今年は,大きく羽ばたくようにがんばっていきます.みなさんも ぜひ わたしたちと一緒に 低炭素社会をつくっていきましょう!
松尾 直樹
現場でがんばっている佐々木の年賀状もお付けいたしましょう.
P.S. Climate ExpertsのWeb http://www.climate-experts.info/ においても,新年のあいさつや,温暖化関連のコラムをアップしましたので,よろしかったらご覧ください.
重慶農業局とのMOU [PEARのプロジェクト開発]
またまたごぶさたしていました.わたしの場合の BaU とは,busy-as-usual なので,ご勘弁ください.
あれから,環境省が立て続けに,カーボンオフセットに関する FAQ,算定ガイドライン,情報提供ガイドライン なるもののドラフトを作成し,パブコメを求めました.PEARとしては,それらにコメントを提出しました.FAQへのコメント,算定ガイドラインへのコメント,情報提供ガイドラインへのコメント をダウンロードできるようにしておきますので,よろしかったらご覧ください.カーボンオフセットに関して,きちんと理解したい人にとっては,いい教材となるかと思います.
さて,明朝,中国に出張します.
今回の目的は,北京大でCDMに関する講演をすることもあるのですが,もっとも重要なのは,重慶において農業局農業委員会と,Memorandum of Understanding (MoU) を締結することです.
PEARは,みずから CDM(それもプログラムCDMという難易度の高い新しいタイプのCDM)を実施していきます.とくに,ホスト国が,持続可能で低炭素型経済発展のパスを選択できるようなプロジェクトを厳選して行います.
そのために水面下で活動をしてきた「バイオガス・マイクロダイジェスター」というタイプのプロジェクト(というよりプログラム)があります.詳細はまたいずれ紹介いたしますが,中国の貧困農村地域で,農家一戸一戸に バイオガス生成のためのダイジェスターを導入するという まさに 持続可能な発展を 絵に描いたようなプロジェクトです.
かなり現実的なところまでこぎつけましたので,今回,むこうのパートナーである重慶市農業局農業委員会と,MOUを結ぶことになりました.初期投資を行っていただける日本の事業者の方にも いっしょに行っていただけます.
また,その様子やプロジェクト自体のご説明など,機会をもうけて いたしましょう.