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POZNAN会議の状況 2 [地球温暖化問題の国際交渉]


ポーランドのPoznanで開催されていた COP 14 (& COP/MOP 4) が,二週間の会期を経て終わりました.ボランタリーなカーボンオフセットとはすこし異なる視点となりますが,ここでそれを少し振り返ってみましょう.

来年のコペンハーゲン会議で,新しい方向性がいろいろ決まってきます.日本ではメディアなどで「ポスト京都」という言葉で表現されるときがありますが,これはミスリーディングです.とくに,発展途上国の数値目標が入った新しい国際協定ができるようなことは,予定されていません.

国際交渉は,2013年以降の先進国の数値目標を決めるトラックと,発展途上国を含めた対策強化のトラックの2つが並行して動いてきています.

日本にとって直接効いてくるのは,あきらかに前者です.また,数値目標自身は,来年の6月6日までに,そのテキストに合意する必要があるのです!そのことをきちんと理解している日本人は何人いるのでしょうか?井の中の蛙では困ります.

先進国の数値目標は,まず先進国の排出総枠に合意し(来年3月の交渉会議),6月には各国の目標に合意する予定となっています.よく考えるとわかりますが,「総枠」は環境問題,「各国目標」は公平性/負荷分担 の話となっています.これをちゃんと分離することがいいですね!

発展途上国関係は,Bali Action Plan として,Long-Term Cooperative Action を,どうしていくか?という話です.GHG排出削減を表す mitigation だけでなく,adaptation,技術移転,ファイナンス が,同列に扱われています.それから,Shared Goal ですね.たとえば 2050年半減 というのはこれに当たります.いままで,発展途上国関係は なかなか動いてこなかったのですが,すこしずつ動いてきています.

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歴史的には,気候変動枠組条約(1992年),京都議定書(1997年),ボン合意/マラケシュアコード(2001年) と,きわめてタフな交渉がありましたが,それらはきちんと実りをあげてきました.わたしは何度も感動的な場に立ち会ったものです.いろいろあっても,結局は「進めていかなければならない」という気持ちは共有されていると思います.今回も,そうなってもらいたいものですね.

松尾 直樹

P.S. なお,セミプロ以上の人に向けて会議の参加報告+分析を,Climate Experts のWeb に載せておきます.ご興味のある方はご覧ください(緑色がわたしのコメントです).ダウンロードした方は,よろしかったら わたし までご連絡いただけると幸いです.

 


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