コペンハーゲン会議から《二日目》 [地球温暖化問題の国際交渉]
会議の二日目のようすです.
交渉プロセスとサイドイベントが,多数,同時並行的に動いてきますので,自分の興味のあるところをはしごするというスタイルとなります.
わたしが傍聴したサイドイベントは,欧州委員会による2011年からの欧州に乗り入れる航空機に対する規制に関するもの,IPCCのAR4以降に関するもの,CDMのリフォームに関するもの,CDM理事会によるQ&Aセッション でした.
欧州委員会の考えは,非常にわかりやすくかつ強力です(もちろん欧州閣僚理事会や欧州議会にサポートされています).RoHSやISOもそうでしたが,欧州が世界の(実質的な)ルールメーカーとなってきそうです.地域の規制のグローバル化ですね.その最初の動きが航空業界といえるかもしれません.
IPCCは,今動いてきているAR5 (第5次評価報告書)に加え,異常気象に関する特別報告書の動きが注目されます.
CDMは,かなりみなさんの不満が溜まったいるようですが,CDM理事会もいまの事務局100人体制を 140人に増やして対応していくようです.スムーズに手続きが進むようになればいいのですが... (下の写真はCDM理事会のQ&Aの様子です)
さて,交渉ですが,先進国の次期目標を交渉するコンタクトグループで,先進各国のコミットしてきた数字をまとめた資料が配付されました.ロシアの数字が,10~15%と記載されていたが 20~25%になりましたのでやや変わると思いますが,先進校全体で,16~23% (1990年比)といったところのようです.ただこれは京都議定書のプロセスなので,米国は除きます.
最後に,英国の新聞社Guardianが,11/27バージョンのマル秘の資料をリークしました.COP決定の最初のもの... という位置づけのもののようです(Copenhagen Agreementという名前が付いています).ちなみに,(米国を除く)先進国の数値目標は京都議定書の締約国会合CMP決定として,別立てで出てきます.なかなか興味深いですが,全体的印象としては,落としどころをそれなりに捉えていると思います.
次のプロセスに繋げることもきちんと想定されていますし,その際の法的文書に組み込むべき点も示されています.この内容に近いところで,環境大臣や首脳が最終合意するということは,十分にありえると感じました.もっとも,COP決定の他の部分や,CMP決定の方も重要で,これだけではありません.
国際交渉のやり方に関する点を,すこし解説いたしましょう.正式な COP Plenary (UNFCCC),CMP Plenary (京都議定書)の下に,2つの SBSTA,SBI という補助機関(というか交渉プロセスです)があり,今回は加えて,AWG-LCA (UNFCCC),AWG-KP (京都議定書) という 2つの(コペンハーゲン会議のための)交渉プロセスが動いています.
このような公式の会議に加え,交渉テーマの各要素に関して,コンタクトグループという交渉プロセスが動きます.この結果をAWG, SB, COP, CMPなどに持ち寄るわけです.さらに交渉が煮詰まってくると,それがクローズドになります.
二週目の後半には,ハイレベルすなわち大臣クラスが乗り込んできます.今回は首脳まで来るようですね.だんだん交渉が佳境になると,グループはより小さく,よりハイレベルとなっていくわけで,Friends of the President というような名前で,キーとなる少数国だけでの交渉が徹夜で行われることになります.
そうなるとわれわれはまったく蚊帳の外ですので,結果が出てくるまで待つしかありません.そして,最後には,COP や CMP の Plenaryが開かれ,そこで合意された文章が呈示(Lドキュメントと言います),通常であれば,そのままあるいは微修正で,COP or CMP 決定となるわけですね.
松尾 直樹
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